ブリンダ・クンダ(Vrinda Kunda)
現地の友人の案内のもと、今日はまず、ブリンダ・クンダに訪れることになりました。ブリンダ・クンダとは、ブリンダ・デビという神様が実際に地球にいた時に暮らしていたとされている場所で、現在はお寺が建てられて女神様が崇拝されている場所です。「クンダ」とは人工の泉(池)を意味しています。
インドの田舎の村を車で走り、小さな道に入ってからしばらく進むとブリンダ・クンダに着きました。
静かで平和な小さな池のある庭園が見えます。
ここに、ブリンダ・デビの神様が祀られているお寺があるのです。
中へ進むと小さなお寺が。
午後4時のダルシャンと呼ばれている神様の神像を観ることができる時間に合わせて行きました。
お寺に着くとしばらくして、祭壇のドアが開き、中からブリンダ・デビが姿を見せてくれました。
初めてみる女神様の姿に見とれて、しばしお祈りをしました。
あたりはとても静かで鳥たちのさえずり声が聞こえ、牧歌的なのどかな風景が広がっています。
お寺の周りにもゆっくりと歩いてみました。
聖なる木であるトゥルシーの木がここにもやはり植えられています。
おとぎ話にでてきそうな、妖精のエネルギーを感じることができる風景に出会いました。
ブリンダ・デビがクリシュナへの奉仕の仕事のために従事させているという緑のオウムのような鳥も木にとまっていて、しきりにさえずっていました。
ブリンダ・クンダ(Vrinda Kunda)の歴史
現在は水道設備が整っているこの地域ですが、かつては人々に必要な生活用水を確保するために「クンダ」と呼ばれる人工の小さな泉がたくさん作られました。
5世紀から15世紀までの間クンダとして知られている人工の小さな泉は、当時の人々の重要な淡水源でした。この地域には1000以上のクンダがあり、そのすべてが過去に大切な水源として利用されていたそうです。
私が初めてブリンダヴァンを訪れた4年前、一緒にステイしていたアシュラムの人々が周辺の聖地を観光しにいくというので、あまり詳細は知らずにミニバスのツアーについて行きました。
初めてのツアーにも関わらず、周辺の有名な聖地を参拝して行ったのですが、不思議に人工の四角い泉をいくつか訪れたことを覚えています。
他のどの国でも見たことがないような、四角い泉で、それぞれの泉には神様にまつわるストーリーが存在し、今でもその神様や聖人が崇拝されている神聖な場所でした。
泉の水はどう見ても濁っているのですが、聖水として頭にかけたり、水浴びをしている人もいました。
泉の中には亀や淡水魚が泳いでいて、水鳥が浮かんでいたりもします。このコンビネーションは、インド独特の不思議な景色です。私は聖水とは言われても、濁った水を頭にかけることには抵抗があったので、水に手をつける程度にしました。
泉のお水は、かつては灌漑用水、飲み水、生活用水など、さまざまな目的のために使用されていたのですが、過去200年間における急速な都市化、維持管理の欠如、長期間ほったらかしにしたことなどにより、80%のクンダが枯れて徐々に消滅してしまったそうです。
聖チャイタンニャが、ナンダガオン(Nandgaon)と呼ばれている、クリシュナが養父母に育てられた地域の周辺の56のクンダを訪れた時に、ブリンダ・クンダが発見されました。
それからムスリムの侵略をきっかけに、20世紀に入ってから、ブリンダ・クンダは再び人間の視界から消えてしまいました。
1980年になってから、聖ババマダバという聖人がこの地域の土地を美しくするために、何百もの果物、花と白檀の木を裕福な人達からの寄付で集め、2つの神聖な泉、ブリンダ・クンダ(Vrinda Kunda)とグプタ・クンダ(Gupta Kunda)を掘削するために政府の補助金を得ることに成功したそうです。
中央の孔雀の像の横にあるのが聖ババマダバの肖像
その後、聖ババダバと村の人達の力で、ブリンダ・クンダには美しい寺院と、豊かな庭園が建設されました。